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2006年11月29日 (水)

赤べこ~日系企業の中国人スタッフを思いながら

 日系企業の中国人スタッフもたいへんだということ、日本人駐在員のある一面を書く。

 日系企業が中国で仕事をするときには、やっぱり日本のやり方を熟知しているわけだから、本社は日本的な考えて、日本的な方法を押し付けてくる。日本的な考えや方法にはそれなりのよさはあるが、日本的な概念が中国の現状とほど遠い場合には、それが空回りしてしまうわけだ。有能な中国人スタッフであれば、「中国の現状がこうなっているから、日本のこのコンセプトを取り入れながら、こういうやり方をした法がいいんじゃないか?」と提案すし、それを受けて、駐在スタッフが本社を説得したり、本社に説明するものだ。或いは中国人スタッフが中国のやり方に固執してしまう場合には、日本的な考えを説明し、あえて日本的な方法を取るメリットなどを説明し、本社の意図を上手く中国的にアレンジさせるということをする。

 だから駐在事務所や現地法人における日本人駐在員と中国人スタッフの良好なコミュニケーションは必須だと思う。中国は嘘や誇張も多いが、選べばよいスタッフを集めることができるし、良いコミュニケーションが取れないからやる気を失って、悪事に走るスタッフも出てくるという側面もある。

 日本人上司と中国人スタッフの間のコミュニケーションが上手く取れない理由は、中国人の側にも問題があるケースがあるが、日本人の側にこそ大きいかも。「派遣される日本人上司が本社にモノがいえるかどうか」というのは、実は重要なポイントだと思う。

 日本の会社員の中には実は「赤べこ」君が多い。赤べこ君とは私の造語、日本の東北地方の民芸品で首がうなづきつづける赤いうしを赤べこと言うが、この牛のように、上司の意見にうなづくばかりで、自分の意見を述べない人、責任を持とうとしない人部下は結構いる。まあそれはそれで上司と衝突して苦しい思いをしないで済むからいいのかも知れない。パワハラに近いと思うが、上司と意見が合わないせいで、つぶされてしまった友達を私は知っているから、そういう処世術もありだとは理解できる。しかし私はそれでは心底つまらんと思うのだ。

 日本ではおおよそ仕事の流れが決まっているから、赤べこ君でも充分仕事はできると思うが、海外に出たら、自分の意見をはっきり言わなければ現場は動かないし、逆に中国人スタッフをつぶしてしまうことになる。中国人スタッフと上手くやって、日本のやり方を上手く中国市場に適合させることこそが、中国ビジネスだと思っているから、日本企業の駐在員は、赤べ精神を是非捨てて欲しいものだと思う。赤べこ精神でいると、中国人スタッフは、真面目な人は潰れていくか、単にスキルを磨くことにかけるか、或いはあまり真面目でない人はつまらないと思うから利権を貪る形になるんじゃないかと思う。いずれにせよ赤べこ精神の日本人駐在員は中国人スタッフに尊敬されないし、現場でいい仕事はできないと思う。

 尤も赤べこ君は、職を失うことはないかもしれないが、ずっと日本にいてもそう出世はできないんじゃないかと私は思う。意見がないと目をかけてもらえないものだ。私にも赤べこの日本人の知人がいるが、ブランド企業の赤べこは上に遠慮している分、業者に辛く当る。自分の赤べこ精神を反省して欲しいものだ。


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