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2006年9月11日 (月)

伯母を思う

 昨日は部屋を整理していたら、伯母の本がでてきた。「油絵の描き方-風景画-」という本で、伯母の絵や、伯母がスケッチしている後姿や、伯母のコメントなどが掲載されていて、伯母を知るだけに非常に面白く感じられた。貰った当初は私も若く、伯母が身近な存在でありずぎたために、何とも感じなかったのだから、面白いものだ。伯母とは意図したわけではないのに、中国駐在に出発のため帰省したその電車でたまたま会ってお茶をしたり、たまたま帰省して散歩しているときに出くわしてお茶をしたり、血のつながりの濃さを感じていたものだ。まあ単に狭い田舎町だからと言うことなのかも知れないが。彼女も第一子で、言いたいことをいうタイプなので、今思うと似たところがあったように思う。だから、経験を積んだ今になって、深い話しをしたら面白かっただろうなあと思うところがある。

 この本では伯母の私的な風景が描かれているから、私にとってもなつかしい故郷の風景や、伯母の家族と行った××や○○の風景が、当時のままに描かれていて、じんと来てしまった。特に伯母のコメントが面白く、悩んでいるときは足元の草を眺めてみるのがいいとか、歳を重ねると、人生にはいいことも多く楽しいものだと思えるようになるというくだりに共感した。伯母が祖母を偲んで描いたという絵を見て、祖母が亡くなった当時を思い出したり、小さな住宅が取り壊された時に露出した柱が面白かったというエピソードに、従兄と一緒にそのあたりを遊び歩いた事を思い出したりした。そこにはマンションが建ってもう20年以上になる。
 伯母が従姉と一緒に過ごしたイタリアでのお正月のくだりを読んで、伯母も従姉もなくなってしまったけれども、私の目の前には二人の姿が浮かび上がると言うところに、不思議な、物悲しい気持ちになる。

 こういうものを読んでしまうと、無性に自分の田舎に帰りたくなるものである。

P.S.ちなみに私のMIXIの写真は、伯母の絵。YAHOOオークションで3万7千円(だったと思う)で競り落とされたそう。最後に伯母の展覧会に行ったのは大学時代ですが、その頃は絵の値段なんて興味がなかったから、見もしなかったと思うし、見ていたとしても、もう覚えていない。だからこの値段については、よく分からないが、草葉の陰で伯母が苦笑いをしているか、それともまあ売れるだけましと思っているか、憤慨しているか、とても興味がある。

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