« 中国出張突然死 | トップページ | 給料くらい払ってやってよ! »

2006年6月 5日 (月)

考古学が分からない労働者

 これは今朝の新聞で読んだ記事。北京市内の左安門で工事を行っていたら、陶製の棺が3つ出てきたそうだ。現場総監督がかけつけるまでに、2つの棺は掘り出され、労働者により内容物の奪い合いとなってしまい、結局完全に保管されたのは1棺のみとなってしまい、今日やっと考古学部門の人がやってきて検証するということになったという記事があった。

 中国の悪口を書くつもりはないが、中国はぴんから切までの差がある社会で、肉体労働につく人は、地方出身の出稼ぎ農民達で、だいたいが小学校や中学校を出たか出ないかのくらいの人たちだから、誰かがエキサイトしてしまえば、それに連れられて乱痴気騒ぎになってしまうのはよく理解できる。内容物についての記述が無いので良く分からないが、考古学的価値はあっても、宝物としての価値がないものもあり、出稼ぎ農民が売りにいっても、売る場所がなかったり、ニセモノと誤解されてしまったり、二束三文に買い叩かれてしまうのが関の山なのに、なんて愚かに考古学的発見を破壊するのだろうと、民考出身の私は考えるのだが、まあ、これが現状なのだから仕方がないのであろう。

 民考研究室在籍時代(93-96年)には、研究室の教授は「中国は宝物考古学」と馬鹿にしていたが、後輩で北京の社会科学院に留学する人もいるし、彼によると現在欧米留学帰りの中国人考古学者も増えているから、状況はかなり改善されつつあるという。しかし現場がこうでは、せっかくの考古学もだいなしであり、やや残念。

|

« 中国出張突然死 | トップページ | 給料くらい払ってやってよ! »